【次回予告】「翻訳と私」翻訳者の廣瀬麻微さん

【次回予告】
次回の「翻訳と私」(最終回)では、翻訳者の廣瀬麻微さんに寄稿していただきます。お楽しみに。

栃木県那須塩原市生まれ。東北大学文学部卒。県立高校で7年間教員として勤務したのち、2017年に翻訳学校へ入学。2018年よりフリーランス翻訳者として仕事をはじめる。第15回JAT新人翻訳者コンテスト優勝(英日部門)。好きなものは、かっこいい物語、ハッピーエンドの映画、海外ドラマ、ミュージカル、猫。夢は文芸翻訳者としてひとりでも多くの人に海外の魅力的な物語を届けられるようになること。

第15回新人翻訳者コンテスト 受賞者とファイナリストの訳文
https://jat.org/ja/news/fifteenth-annual-jat-contest-translation-of-award-winners-and-finalists

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サイトリニューアルに伴い、以下サイトでお読みいただけます。(2021.2.3)

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連載「翻訳と私」バックナンバー(敬称略)
31.「翻訳をはじめて」廣瀬麻微(2019年9/10月号)
30. 「幼い頃の憧れが形になった翻訳という仕事」舟津 由美子(2019年7月/8月号)
29.「翻訳が教えてくれたこと」児島修(2019年3月/4月号)
28.「子どもの本の世界」長友恵子(2018年11月/12月号)
27.「翻訳と私」矢能千秋(2018年9月/10月号)
26.「本の翻訳と私」最所 篤子(2018年7月/8月号)
25.「調べ物という命綱」和爾 桃子(2018年5月/6月号)
24.「効率的な翻訳を」上原 裕美子(2018年3月/4月号)
23.「優秀な受講生のみなさんに講師が学ぶ翻訳教室」金子 靖(2017年11月/12月号)
22.「空白のものがたり」喜多直子(2017年9月/10月号)
21.「ミスのない翻訳チェックをするために」久松紀子(2017年7月/8月号)
20.「世界一面白い本を」白須清美(2017年5月/6月号)
19.「ことばの森の片隅に」星野靖子(2017年3月/4月号)
18.「翻訳を仕事にするまで」石垣賀子(2016年11月/12月号)
17.「なぜ、『出版翻訳家』になりたかったのか」藤田優里子(2016年9月/10月号)
16.「わたしを導いたもの」斎藤 静代(再掲、2016年7月/8月号)

旧コラム「人間翻訳者の仕事部屋」(敬称略)
新しいサイトでもご覧いただけます。
記事一覧:http://journal.jtf.jp/column18_list/
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16.「わたしを導いたもの」斎藤静代(2016年7月/8月号)
15.「翻訳と役割語」片山奈緒美(2016年3月/4月号)
14.「『デュカン・ダイエット』をめぐる冒険」福井久美子(2015年11月/12月号)
13.「出版翻訳と軍事とTradosと」角敦子(2015年9月/10月号)
12.「私の選んだ道」久保尚子(2015年7月/8月号)
11.「実務から書籍へ、そして翻訳会社」山本知子(2015年5月/6月号)
10.「しなやかな翻訳スタイルを目指して進化中」倉田真木(2015年3月/4月号)
9.「Out of Line」小野寺粛(2014年11月/12月号)
8.「小さな節目に」熊谷玲美(2014年9月/10月号)
7.「はじまりは気づかぬうちに」北川知子(2014年7月/8月号)
6.「在米翻訳者のつぶやき」ラッセル秀子(2014年5月/6月号)
5.「校正刷りの山の中から」伊豆原弓(2014年3月/4月号)
4.「結局趣味が仕事になった」安達俊一(2013年11月/12月号)
3.「ワタシハデジタルナホンヤクシャ」安達眞弓(2013年9月/10月号)
2.「翻訳書の編集は『生業』であり『使命』」小都一郎(2013年7月/8月号)
1.「大統領を追いかけ続け早十二年」村井理子(2013年5月/6月号)

JTFjournal302

「ことばの森の片隅に」 翻訳者 星野 靖子さん

毎号ゲストをお呼びして寄稿していただいている「JTFジャーナル」の連載コラム「翻訳と私」。最新号では「ことばの森の片隅に」(2017年3月/4月号)と題して、翻訳者の星野 靖子さんにご執筆いただきました。

翻訳との出会いから、初めての訳書『ボリビアの歴史』(創土社)のこと、「翻訳の木を育てる」について、星野さんらしい語り口で書いてくださいました。

【プロフィール】
4歳まで東京、その後広島で育つ。東京外国語大学卒業(ヒンディー語専攻)。広告会社等で編集、マーケティングリサーチ、広報宣伝、翻訳、ローカライズなどの業務を経験後、2006年に独立。人文科学、IT、ビジネス、エンターテインメント分野を中心に出版および産業翻訳を手がける。訳書『ボリビアの歴史』(創土社)、『パフォーマンス向上のためのデザイン設計』(オライリー・ジャパン)他。趣味は野山の散策、フィギュアスケート観戦。

星野さん、ありがとうございました。

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連載「翻訳と私」バックナンバー(敬称略)
31.「翻訳をはじめて」廣瀬麻微(2019年9/10月号)
30. 「幼い頃の憧れが形になった翻訳という仕事」舟津 由美子(2019年7月/8月号)
29.「翻訳が教えてくれたこと」児島修(2019年3月/4月号)
28.「子どもの本の世界」長友恵子(2018年11月/12月号)
27.「翻訳と私」矢能千秋(2018年9月/10月号)
26.「本の翻訳と私」最所 篤子(2018年7月/8月号)
25.「調べ物という命綱」和爾 桃子(2018年5月/6月号)
24.「効率的な翻訳を」上原 裕美子(2018年3月/4月号)
23.「優秀な受講生のみなさんに講師が学ぶ翻訳教室」金子 靖(2017年11月/12月号)
22.「空白のものがたり」喜多直子(2017年9月/10月号)
21.「ミスのない翻訳チェックをするために」久松紀子(2017年7月/8月号)
20.「世界一面白い本を」白須清美(2017年5月/6月号)
19.「ことばの森の片隅に」星野靖子(2017年3月/4月号)
18.「翻訳を仕事にするまで」石垣賀子(2016年11月/12月号)
17.「なぜ、『出版翻訳家』になりたかったのか」藤田優里子(2016年9月/10月号)
16.「わたしを導いたもの」斎藤 静代(再掲、2016年7月/8月号)

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16.「わたしを導いたもの」斎藤静代(2016年7月/8月号)
15.「翻訳と役割語」片山奈緒美(2016年3月/4月号)
14.「『デュカン・ダイエット』をめぐる冒険」福井久美子(2015年11月/12月号)
13.「出版翻訳と軍事とTradosと」角敦子(2015年9月/10月号)
12.「私の選んだ道」久保尚子(2015年7月/8月号)
11.「実務から書籍へ、そして翻訳会社」山本知子(2015年5月/6月号)
10.「しなやかな翻訳スタイルを目指して進化中」倉田真木(2015年3月/4月号)
9.「Out of Line」小野寺粛(2014年11月/12月号)
8.「小さな節目に」熊谷玲美(2014年9月/10月号)
7.「はじまりは気づかぬうちに」北川知子(2014年7月/8月号)
6.「在米翻訳者のつぶやき」ラッセル秀子(2014年5月/6月号)
5.「校正刷りの山の中から」伊豆原弓(2014年3月/4月号)
4.「結局趣味が仕事になった」安達俊一(2013年11月/12月号)
3.「ワタシハデジタルナホンヤクシャ」安達眞弓(2013年9月/10月号)
2.「翻訳書の編集は『生業』であり『使命』」小都一郎(2013年7月/8月号)
1.「大統領を追いかけ続け早十二年」村井理子(2013年5月/6月号)

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文章が単調になっていないか

(Facebookの方に書いていたものを転載。)

疲れてきたり、量を訳したりしていると、文章が単調になってくることがある。語尾変化もなく読んでいてつまらない文章になっていないか。ふだん訳している文章はマーケティング関連が多いのだが、昨日参加してきた翻訳フォーラムのワークショップのことを少し書いてみる。

訳出のバリエーションづくり~訳例カード・ワークショップ

ワークショップの前半では、20文で構成される文章を読み、述語部分を特定して、基本3構文である1)動詞述語文、2)形容詞述語文、3)名詞述語文に分類した。この文章は、アルク『翻訳事典2018年版』p56~57、高橋さきのさん寄稿「プロに必要な日本語力はどうしたら身につくか?」でも紹介されているので、ぜひ試してみて欲しい。

まずは、述語部を特定する(アルクの記事では、下線が引いてある)。次に、動詞述語文、形容詞述語文、名詞述語文のどれかを判断する(各構文の説明は、アルクの記事参照)。これで、日本語、英語の両方で、述語部が特定できた状態だ。述語部を中心として、主格、目的格、状況格などがあり、訳文を作るときに無意識に書いていた日本語の各構成部と構文が、これで理解できたわけだ。

ワークショップの後半では、班に分かれて、mostを使った文章をいろいろと考えて、発表した。主語の前に来るのか、主語の後に来るのか、述語の前に来るのか、述語の後に来るのか、それとも主述の外に出してしまうのか。このパターンにはまらないものもあり、その他、とするものもあったが、mostと来たら、「たいていの」と自動的に主語の前に持ってきていないか?と立ち止まるようになる。48の訳例を見ながら、それぞれパターンの判定をして、他のパターンに言い換える練習をした。ついつい締め切りに追われて訳文が単調になってくることがあるが、そういうときは立ち止まってワークショップのことを考える。さて、このmostはどう訳そうかな。

その他に、oftenも単調になりやすい、という話があったが、頻度を示すoften(しばしば)の場合は、言い換えはしない、とのことだった。

なんとなく自分の文章を直したいのだが、どこを直したらよいか分からない、というときに、こういうワークショップに参加してみるといいと思う。アルクの記事では、『悪文 伝わる文章の作法』(岩淵 悦太郎、角川ソフィア文庫)の「悪文をさけるための五十か条」がトレーニングで使える参考書として紹介されている。ワークショップはまた開催されるかもしれないが、遠方の方などは『翻訳事典』で紹介されているドリルを試してみることをお勧めする。

忙しい忙しいとなかなかやらないけれど、教材は結構あちこちに転がっているものだ。『翻訳事典』の記事と連動していたので、ちょっとまとめてみた。理解が浅い!とお叱りの点がございましたら、こっそり教えてくださいませ。

悪文 伝わる文章の作法』(岩淵 悦太郎、角川ソフィア文庫)

翻訳事典2018年度版』アルク

(写真)去年の夏に坊主が城ヶ島で体験ダイビングをしたときに撮ったイソギンチャク。まっきー、何イソギンチャク?13906757_10207097891907881_7614406304683166689_n

癖を直す

(Facebookの方に書いていたものを転載。)

先日、十人十色主催の勉強会で鈴木立哉さんの「翻訳筋トレ」を体験してきた。鈴木さんが毎朝ご自身のTLに書かれている筋トレで、癖を直すためにされているとのことだった。

私はTradosなどのツールはあまり使用していないのだが、疲れてきたり量を訳したりするときに出てくる自分の癖に気づくようになり、「癖を直す」という点に惹かれた。早速日経新聞の「春秋」の音読、「私の履歴書(カルロス・ゴーン)」の黙読を2日試してみた。所要時間にして約5分。お湯を沸かす間にできる。手頃なのでしばらく続けてみようと思うのだが、「癖を直す」ことについていくつか思ったので、書き記しておく。

セミナーの翌日にある編集者さんと話していたのだが、「僕らの仕事は癖を作ることでもある」と言っていたのが印象的だった。間違いは直しつつも、その人の文章の癖を活かして個性を育てる、ということだろうか。

また別の機会だったが、どこかで読んだか聞いたかしたことがあった。新聞記者の方は、入社してから記者ハンドブックなどで自身の文章の癖を一度抜く、ということを聞いたことがある。一度癖を抜いてから、その後に文体を作っていく。守破離はここでも同じなんだな、と思った。

別の編集兼ライターの方は、人の文章に手を入れるときは記者ハンドブック準拠で、ご自身の文章を書かれるときはハンドブックからは離れて好きに書く、と言っていた。

毎日いろいろな文章を読むけれど、紙に印刷されたコラムを読むのは新鮮。新聞受けから新聞を取って、音読、黙読で約5分。しばらく試してみようと思う。

(以下FacebookやTwitterにポストしていたストレッチ記録。)

1.日経新聞の春秋を音読。カルロス・ゴーンの私の履歴書、伊集院静の琥珀の夢を黙読。今日のストレッチは終わり。約9分。

2.今日のストレッチ。日経新聞の春秋を音読。カルロス・ゴーンの私の履歴書を黙読。今日は翻訳フォーラムのワークショップに行くので、これでおしまい。約五分。

3.日経新聞 現代ことば孝 黙読終わり。約三分。

4.日経新聞の春秋を音読、カルロス・ゴーンの私の履歴書を黙読。約五分。

5.日経新聞の「春秋」を音読、カルロス・ゴーンの「私の履歴書」最終回を黙読。約五分。明日からは昭和電工最高顧問大橋光夫氏。経営トップの話はやっぱり面白いね。

6.朝のストレッチ。日経新聞の「春秋」を音読、大橋光夫さんの「私の履歴書」を黙読。約六分。「が」「は」「、」を意識して読んだので昨日よりも時間がかかった。これから1か月間、昭和電工最高顧問の大橋光夫さん。

鈴木さんの朝トレの様子は、ご本人のTwitter、Facebookで発信されているので、興味がある方は読ませてもらうとよいと思う。次回開催が予定されているようなので、都内近郊の翻訳者の方は十人十色をフォローしておくとよいかも。(人気殺到だったので、申し込むのが大変かもしれないけど。)

ここのところちょっとサボっていたのだけど、また近々再開しようと思う。

朝トレのご紹介でした。

追記1: Twitterの方に書いていた記録を転載。

2月18日
久しぶりの朝トレ。日経新聞の「春秋」を音読、文化面の「交遊抄」「文化」の黙読。久しぶりすぎて時間をはかるのを忘れた。

2月17日
今日の朝トレ。日経新聞2面記事のワープロ打ちだん。テスト休みの人がいると日課が狂う。さて、朝ご飯にするかな。

2月12日
朝刊が休みなので、土曜の朝刊から。日経新聞の「春秋」を音読、文化面の「交友抄」「文化」の黙読。約八分。新聞だからというのもあるだろうが、自分はいつも「、」を打つところが打っていなかったりして、今度はなしにしてみよう、などなかなか新鮮。雑学には助けられることが多いので文化面は好き。

2月11日
朝トレ。二日休んでしまい予測変換にも出てこない。日経新聞の「春秋」の音読、「現代ことば考」「彼方の野原」の黙読。約八分。文化面は実はほとんど読まなかったのだけど、面白い。効率、効率と効率ばかり気にしていると、最終的には非効率な気がする。無駄も大事と他界した恩師が言っていた。

2月8日
夕トレ。日経新聞の「春秋」の音読、「交遊抄」「市場の力学」の黙読。約五分半。こんな時間になってしまったけど、仕事以外の文章を読むのは楽しい。

2月7日
夕トレ。日経新聞の「春秋」の音読、「交遊抄」「市場の力学」の黙読。約6分。ふだん新聞を読む時は一面の大見出しから読むけど、ストレッチだと文化面や小さい記事も読むので視点やトーンが変わって面白い。ふだんは一面から斜めに読む。

追記2:新聞は素材に向かないとのご指摘をいただきました。鈴木さんの朝トレの様子は、ご本人のTwitterで紹介されているので、そちらもご参照ください。

(写真)ミシュラン二つ星の城ヶ島。フィルムコミッションが頑張っているので、映画の撮影も多い。

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翻訳教室

ここ数年、いくつかの勉強会に参加させてもらっているのだが、そのひとつに、青山ブックセンターで開講されている翻訳教室がある。現代文学を訳す教室なので、ずっと尻込みをしていたのだが、周りの人が何人も受講していて評判がよかったため、試しに昨年の六月に開催された単発講座に参加してみた。それが、春の公開教室2だった。「しゅわしゅわと炭酸の泡のように立ちのぼる」など、普段はまったくでこない。日頃使っていない脳みその部分を総動員しても、あぁ、読書量が足りない、と完敗だった。

この教室は通常は六回シリーズで、ひとり二期まで受講可能。各期の間に、二回公開教室が開催されている。春の公開教室2の後に、13期(2016年10月26日に終了)が始まった。月1回の教室で、二週間くらいで八百ワード程度の課題を訳す。たいていは既訳がない現代小説。普段の仕事では裏取りをしたらなんとか訳せるものがあるが、フィクションは読めないことには訳せない。通常の仕事では訳抜けが、と細かいことがいちいち気になるのだが、勉強会の課題だと、さぁ、思い切り絵を描いてみましょう、ということで、実に楽しい。この感覚はなんだろうかと思っていたら、大学の英文学の授業だった。純粋に小説を読んで、訳すなんて忘れてしまっていた。翻訳を仕事にするようになって十七年目に入ったのだが、みんなでひとつの課題を訳して、あぁだこぉだいうのは生涯続くライフワークになったらいいな、と思う。

13期が終わり、秋の公開教室冬の公開教室があり、1月から14期が始まった。まだ始まったばかりではあるのだが、その14期もあと5回。今回の課題は、13期でも取り組んだLorrie Mooreの短編小説「Paper Losses」。

クラスでは上手く訳せている人の訳文が紹介される。上手い部分だけ、というのがみそだろう。他の人の訳をみていると、あぁ、ここ上手く理解できていなかった、とか、ここはもうちょっとなんとかならなかったの、とか、だめな部分は自分が一番わかる。

以前はフィクションなんて無理無理と思っていたのだけど、仕事ではなく純粋に読んで訳す、ということが新鮮で、ねぇ、ねぇ、あそこどうやって訳した? などと大学生みたいに月に1回集まっている。14期は6月に終わるのだが、公開教室がおそらく7月、8月ごろに開催されると思うので、興味がある人は気をつけているといいかもしれない。毎回あっという間に埋まるので、フェイスブックでOB・OGの方のポストを見ているのが確実だろう。

それでは公開教室・翻訳教室でお会いしましょう。

(写真)去年の夏に坊主が城ヶ島で体験ダイビングをしたときに撮った海洋生物。まっきー、名前は何でしたっけ?

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気になっている春先の講座

「通訳・翻訳ジャーナル 2017年春号」でも連載をされている文芸翻訳者 越前敏弥さん。

小説を訳そう 越前敏弥の文芸翻訳ドリル
第4回 講師/文芸翻訳者 越前敏弥さん

横浜の朝日カルチャーセンターで講座を開催されるとのことなので、備忘録がわりにメモ。

翻訳百景 英語と日本語のはざまで
文芸翻訳のツボ 原文を正しく読み、的確に表現するために
英米小説の翻訳 原文を深く読み、豊かに表現するために

新宿でも開催しているので、興味のある方は新宿教室のサイトで検索してみてくださいね。

(写真)三浦海岸の河津桜

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『ダンヒル家の仕事』

少し前に翻訳の手伝いをした本が形になったので、紹介したい。

ダンヒルの名はご存じの方も多いと思うが、本著は創業者の娘が書いた自伝である。創業者の父親は起業する人のご多分に漏れず、好奇心が旺盛で奇想天外。その人柄に引き込まれつい読み進めてしまった本である。

二代目は会社を潰すとよく言われるが、事業が次の世代へと継承され、現在の規模に拡大されるまでには紆余曲折があった。そして娘であるメアリーの視点で物語が進行する。フィクションとして読むと一族に降りかかる災難・苦難は、これだけの富と名声を得た事業であればありがちとも言えるが、ひとりの女性が体験したことと置き換えてみると、まるで小説のような人生である。父、叔父、三人の兄を中心に事業が展開するのを端から眺めていた少女が、事業の中心へと躍り出て、結婚、出産、育児、別れと日々奮闘する姿は、時代を超えて共感できる。

一人称で語られるメアリー自身が書いた自伝であるため、原書はところどころ読みにくい箇所があったのだが、訳者の方は編集者でもあるため、その点は上手くまとめているのではないかと思う。

女性視点で描かれた起業本は何冊もあると思うが、ダンヒルが今の規模になり、それでもなお存続し続けているのはなぜか。そのルーツには創業者一族の歴史をひもとくとヒントがあるかもしれない。

200ページと薄めの本なので、書店等でお見かけの際にはぜひ手にとって、読んでみてもらいたい一冊である。

ダンヒル家の仕事』メアリー・ダンヒル (著)、平湊音 (翻訳) 、未知谷

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