『さやかに星はきらめき』(村山早紀著)

 11月21日に刊行予定の『さやかに星はきらめき』(村山早紀著)の読者モニターに応募してみた。ファンタジーは読むのが好きなので、SFファンタジーということで読みたくなった。読み始めてみると、ファンタジーとSFを行ったり来たりするような、ファンタジー好きにもSF好きにも楽しめる内容だった。なんといっても扉絵に惹かれた。イヌとネコとトリと女の子が窓から宇宙を眺めている。はて、これは一体、どういう設定なのだろうか。本書は五つの章で構成されていて、それぞれの章のなかで作中作が出てくる。いわゆる短編が五作品収録されているわけだが、書籍編集者が「人類すべてへの贈り物となるような本」を作るために集めたお話として紹介されていく。その編集者の名前がまたまたおもしろい。キャサリン・タマ・サイトウ。なんと猫を先祖にもつネコビトなのだ。彼女と一緒にこの本の企画を立てている副編集長は、イヌビトのレイノルド・ナカガワ。そのほかにも、トリビトで校正・校閲者のアネモネ、古い人類で雑誌編集部編集長のリリコが登場する。地球は生物が住めなくなっていて、人類が宇宙へ脱出してから数百年が経っており、舞台は月から故郷の地球を眺める新東京。出てくるお話はどれも「宇宙で起きたクリスマスの奇跡」だ。地球は度重なる災害や戦争で住めなくなり、人類は新天地を目指して宇宙へ飛び立ち、数百年が経った時代の話で、月の地下に住む人、天蓋に覆われた高層ビルに住む人などが出てくる。故郷の地球が見える月に住む人もいれば、もっと遠くに新天地を求めた人もいる。そんな中で、ネコビト、イヌビト、トリビト、古い人類が、「時代を超え今と未来の人類に愛される本」を作っていく。ファンタジーと聞くと甘ったるい印象を持つ人もいるかもしれないが、SFファンタジーだからだろうか。SFファンも十分楽しめると思う。はたしてサンタクロースはいるのだろうか。ひとの祈りや願いは通じるのだろうか。ちょっと日常に疲れた大人にもぜひ読んでほしい一冊だった。読後感が温かい。読書会があったら参加したい。ブックサンタでクリスマスプレゼントにもいいかも。

『さやかに星はきらめき』自分の感想
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さやかに星はきらめき』(村山早紀著)

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