仕事の道具 その2

和文の時に使っている仕事の道具については、前のエントリーで書いたので、今回は英文を書くときに使っている道具について書いてみたい。

ボキャブラリーにはアクティブなものと、パッシブなものがあるが、基本的にはアクティブなものを増やすようにしている。パッシブなボキャブラリーとは、読んで意味が分かるもの。アクティブなボキャブラリーは、読んで分かるし、自分の語彙として書いたり話したりするときに自然と出てくるもの。いくら辞書をひいても、アクティブボキャブラリーが少ないとぎこちない文章になりがちだ。ではどうやってアクティブなボキャブラリーを増やすのか。私は自分が訳している分野の文章を日本語、英語の両方で定期的に読むようにしている。日本語でもコロケーションがあるが、当然ながら英語でもコロケーションがある。日本文を読んだ後に、一呼吸おいてから英語に置き換えていく。スクールに通っていた当時、通訳になるか翻訳者になるか決めかねていた時期があり、通訳者養成コースで学んだリテンション、シャドーイングなどがずいぶんと英訳時に役立っている。

英訳をする際には基本的にはMSワードで作業しているのだが、Grammarly Premiumのアドインを使っている。月額にして$11.66、年額$139.95だが必要経費だと思っている。基本的に仕事の道具は有料のものを使うようにしている。

スタンドアロンで使える辞書も使っているのだが、オンラインで使っている有料の辞書では、研究社のKODを愛用している。辞書ブラウザが使いにくいという難点はあるのだが、いつでもどこでも使える、ということで、重宝している。契約しているのは、個人アドバンストで英英辞書のオプション付き。ランニングコストは極力抑えたいとは思っているのだが、年間で契約しているサービスのひとつだ。

研究社のKOD 個人アドバンスト 11,880 円(年間)

Oxford Advanced Learner’s Dictionary 7th edition 2,592 円(年間)

The Chicago Manual of Styleは経費節約のため現在は紙を使っていて、オンラインのサイトで掲載されているページを確認して、紙で確認している。とはいえ、紙をいつも持ち歩いているわけではないで、そのうちこちらも契約しないといけないかもしれない。

The Chicago Manual of Style Online

シソーラスは前に校正者に教えてもらったオンラインのものを使っている。

http://www.thesaurus.com/

私の場合、英語ネイティブの校正にかけるものと、かけないものがあって、かけるものの方が多いかもしれない。基本的にはここまでやって、英語ネイティブの方に校正をお願いして、戻ってきたファイルをクロスチェックしてから納品することになる。

フリーランスとして駆けだしたときから英語ネイティブの校正者とはペアを組んでいて、英文添削の個人レッスンをOJTでやらせてもらっている、と考えているので、月間で発生する校正料は必要経費と割り切っている。おかげで、校正をかけない案件も途切れずにいただいているので、日本にいながらにしてまずまずなのではないかと思っている。

私がお勧めの英訳の講座は、遠田和子さんのクラス。機会があったら、ぜひ受けてみたらよいと思う。

PDFのテキストの書き出しに使っているのは、

Adobe Export PDF 年間の料金:2,400円/年

大量のPDFをテキストに書き出す必要があったので有料版に切り替えた。

日本語でも英語でも自分の脳みそが一番だと思っているので、ここ数年あちこちで寄せてもらっているいくつかの勉強会で読んでいる課題などは、インプットにとても役立っている。和訳の勉強会なのに、英語の小説やエッセイ、記事を読む機会が増えて、和訳、英訳の両方に役立っている。

 

(写真)お気に入りの美術館:横須賀美術館

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仕事の道具

あまり自分の仕事道具のことを書いたことはないのだけど、少し書いてみる。

和文:

一次訳の入力時点でできる限りミスを少なくするために、「?」と少しでも不確かなものは必ず確認する。例えば、力不足、役不足など間違いやすいといわれているものを間違っていないか、など。この原稿は、JustRight!5のtxtファイル上で書いているのだが、保存のたびに「校正実行」をして読み直したりしている。(JustRight!6が既に出ているので、最新版はこちら。)文字入力には「一太郎2016」に同梱されている「ATOK 2016」を使っており、予測変換の際には「精選版日本国語大辞典」「ブリタニカ国語大百科事典」「ジーニアス英和/和英辞典」などの検索結果が表示されるので、意味を確認しながら入力している。一次訳でのミスを減らすことが、次の工程へミスを残さずに、チェック、推敲の時間が減らせて、最終的に早く綺麗に仕上がる。「一太郎2017」が既に出ているが、日国とブリタニカが入っていないので、2016を購入した。

一太郎2016 スーパープレミアム 特別優待版

Just Right!でも拾えないものがあるので、「音声読み上げソフト詠太6(一太郎2016に同梱)」も使っている。今まで自分で音読をして仕上げていたのだけど、目が補完してしまいミスに気づかないことがあったのと、視認では間違えに気づかないもの(二(数字)、ニ(カタカナ))を確実に拾うために、音声でも確認するようにした。ただこれは、確実に入力時に間違わなければよいので、入力時にもATOKが変な癖を覚えないようにかなり注意している。

例えば、先日Twitterで高橋聡さんは
表記を間違えない、ささやかな工夫のひとつ。たとえば、自分の仕事では「全て」という表記をほとんど使わない。だから「すべて」→「全て」という変換は基本的にしない。「ぜん」「て」と打つ。「昨日」もおなじく「きのう」からは変換しない」と書かれていた。

また井口耕二さんは
「私が仕事用マシンと通信を中心とするその他用マシンの2台使いから離れられない理由のひとつがそれ。おふざけ変換を覚えられると仕事にミスが混じるので、マシンそのものを分ける。ATOK Syncも使わない。 RT @baldhatter 表記を間違えない、ささやかな工夫のひとつ……」
と書かれている。

読み上げソフトは、どの文章も同じトーンで読むため、単調でこれまた聞き逃すこともある。どれも一長一短ではあるのだけど、ミスを後工程に回さない策は、いくつか取っておきたい。私の場合は、一次訳でできる限りミスをしないことが一番効率的なので、疲れたら休むことも効果があると思っている。

紙媒体など多くの人の目に触れるものや、紙として残るものの場合は、第三者の方に読んでもらうようにしている。

コロケーションの確認は、翻訳フォーラムでもよく紹介されている「少納言」を使っている。
現代日本語書き言葉均衡コーパス

先日井口耕二さんが使っていらっしゃるSimplyTerms話を伺ってきたのだが、いくつか早速試した機能があるので、少しご紹介。

今まで字数カウントはCountAnythingを使っていたのだけど、SimplyTermsのワードカウント機能も手頃だったので、使ってみようと思う。

後は、
・billionなどスペルアウトしてある数字を「xx億xxx万」形式の算用数字に変換
・算用数字を漢数字に変換
・漢数字を算用数字に変換
・算用数字を縦書き時に用いる1桁全角、2桁半角、3桁以上全角に変換
・英語の日付を日本語の日付に変換
の機能が気になっていたので、使ってみたい。

和訳に関しては、原文読解、原文の読み込みに力を入れているのだが、まだまだいろいろとできることがありそうなので、試してみたい。

和文に関しては、こんなところだろうか。英文に関しては、また別途まとめることにする。

(写真)タツノオトシゴ@城ヶ島

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